④ 多文化なグローバル企業で求められる社内教育とは

私たちの組織のなかには、多文化なバックグラウンドや国際経験が豊かなスタッフも多くいます。
著書の中で、そのようなスタッフを組織の中のカルチャーギャップを埋める架け橋として、また他のメンバーが柔軟な思考を身につけられるような手助けを担えるよう、教育し活用していくということを述べられていました。

具体的に人事部としてどのような取り組みをしていけばよいでしょうか?
具体的な指示や援助無しに、これらのスタッフが有効な架け橋になることはないでしょう。多文化のバックグラウンドをもつスタッフがいるというだけでは架け橋にはなりませんね。

そこで、とてもシンプルかつ有効な取り組みをお勧めします。これまでいくつもの企業が実践しているものですが、『異文化理解力』を用いブッククラブを実施するのです。
"ブッククラブ"、興味深いですね。何人程度でどのように行うものなのでしょうか?
そうですね、15人くらいでしょうか。様々な国籍から選ぶようにしてください。もちろん国際経験が豊かな日本人も5名程度含めることも忘れずに。例えば彼らに月に一度、定期的にこの本を読み集まって意見交換をしてもらいます。ランチを囲みながらでもいいでしょう。
内容について納得できたか、自国の文化と日本、あるいは他国の違いついて。
社員同士のいい交流になりそうです。 ディスカッション終了後、私たちがやるべきことがあれば教えていただきたいです。

セッション終了後、スタッフに問いかけてみるのです。会社の中で異文化間の理解が深まるよう、サポート役となる責任を感じるかどうか。

例えば何人かを選択し、あなた方は"多文化間メンタープログラム" について学びましたので、この会社の中で異なる文化のスタッフに対し、より深い理解をもてるようサポートする役割を担っているのですと。さらに、定期的に集まり会話を続けることをシステム化するのです。

また採用活動の際にもこれらの知識やシステムは活用できます。インターナショナルなバックグラウンドを持つスタッフに対しては、採用の理由の一つとして、はっきりとこの組織の中で文化的に柔軟な思考の持ち主として他のスタッフをサポートして欲しいことが挙げられると伝えるのです。

仮に新たに採用するスタッフのなかに、初めてドイツ、サウジアラビアから採用された人がいたとするなら、そのスタッフにこの本を読んでもらい入社後2ヶ月間程定期的にミーティングの機会を設け、それぞれのチャプターについて感想を述べてもらったり、自国と日本の違い、気づきなどを話してもらうこともいいでしょう。 その過程で異文化環境の中で働く心構えも出来ていくと思います。

また次の段階として日本人のスタッフからも同様に数名選んでディスカッションに参加してもらうことを考えましょう。彼らの意識をも向上させることができます。

そうですね。プログラムのシステム化は必要だと思います。多文化間メンタープログラムについて理解のある社員が増えることは私たちにとってとても有益なことです。
また採用活動や新人研修の場でこのプログラムを取り入れることも良いアイデアだと思います。

ぜひこのような活動や努力を続けてください。

会話の重要性は強調してもしすぎることはありません。継続してできるだけ多くディスカッションの機会を作ってください。それが働きやすい環境作り、また状況の改善に大きく役立ってくれるでしょう。

人は簡単に口を閉ざしてしまいがちなのです。 言葉の壁や、批判的に聞こえるのを恐れてはっきり話すことが正しくないと感じる意識など、沈黙の罠に陥るのは簡単です。
シンプルですが、私が提案するのは会話、会話、ひたすら会話です。

他の日本企業で似たような質問をされたことはありますか?
ハイコンテクスト、ローコンテクストは日本人に関してはよくある質問です。
日本人は説明しなくてもわかりあえる状況に慣れているからです。
空気を読むですね。

その通りです。 日本は単一民族国家といえるでしょう。私から見ても本当に特殊な国です。人口の97%が日本人。先ほども出ましたが、甘い誘惑ですね、言葉にしなくても理解してもらえることに甘えてしまいがちです。 ですから、日本企業からは逆にこのような質問は少ないですが、その他の多くが抱える問題です 。

例えば、先週私はスカイプでGoogle社のブッククラブミーティングに参加しましたが、彼らは今このプロジェクトを進めている過程にあり、多国籍な構成をもつ自社のカルチャーマップを図式化し、どのようにディスカッションを開始しようかと思案中です。

コーポレートカルチャーを目に見える形で図式化することによって、抱える問題点に気づいたり、あるいは強みとして発展させていく部分が見えたりするのです。

お互いに同じプロジェクトを遂行するにあたってそれぞれのカルチャーを可視化することはとても重要ですね。

また現在の位置がここだとして、他地域のスタッフがさらに加わることによってそのカルチャーの分布図はまた変化しますし、その際自分たちのスタイルをローコンテストに無理やりシフトする必要はないと思います。

その代わりに、より多くの時間を決定事項やプロセスの確認に費やし、書き出し、各自が理解したこと、現場で起きていることの正しい理解をまた確認しという繰り返しの作業に費やすべきです。時間もエネルギーも消費することですが、これこそが、多文化間でのインタラクションをうまく機能させる秘訣です。

私たち自身のコーポレートカルチャーを作っていくというプロセスと言えるのでしょうか?

そうですね、これもディスカッションが必要な部分です。現在のカルチャーマップの位置付けをはっきり示し、そして将来目指す理想の位置も同様に図式化し、どのように企業文化を変えていきたいのか、会社のリーダーとして、人事部門として、あなた方二人は会社が変わるべき新たな方向性について明確なイメージを持ち、それをきちんと表現できることが大切です。
会社としての価値観を示すと同時に、さらには具体的な行動まで落とし込み提示するのです。

例えば、階層主義の傾向が強い地域出身のマネージャーに、平等なリーダーシップのスタイルを促す必要がある場合、マネージャーだけではなく彼の下で働くスタッフにも同様に平等主義を理解させ教育する必要があります。
彼ら自身も階層主義的なトップダウンのスタイルに心地よさを感じていることもあるでしょうから、自分たちの企業文化は、 上司に対しても異なる意見をはっきりと述べることができる環境を奨励することを一貫して示し、またマネージャーに対しては積極的に自分の意見と異なるものを吸い上げる努力をするように指導するべきです。これは簡単なことではないですね。

⑤ 社内コミュニケーションにおける文化の壁

細山田 理摩(株式会社HDE ビジネス・アドミニストレーション・ディビジョン ヒューマン・リソース・セクション)

若手の外国籍のスタッフから、社員旅行を企画しようという声が上がります。日本ですと近年はパワハラやセクハラという問題も懸念されますし、あまり良いイメージはなく積極的にはなれないのです。考え方の違いを感じます。
ここでまた信頼の指標のマップを見ていただきたいのですが、日本は他のアジア諸国の中ではもっともタスクベース寄りです。一方で、タイやインドネシア、ミャンマーなど東南アジアのほとんどの国が、日本と比較した場合極端に関係ベースでの信頼構築に寄っているのがわかりますね。これらの国ではパーソナルな結びつきを大切にします。職場においても、食事を共にし、お互いの家族のことを共有し、個人としてお互いを知ろうと努力するのです。
日本は昼間会社ではタスクベースの考え方をし、終業後に食事にでかけたりするのではないですか?
実はあまり職場外で一緒に過ごすということはしません。
なるほど。あなた方はIT企業の特徴でもありますが、よりタスクベース側に位置しているのですね。そうすると、他のアジア諸国との間にどれだけの距離があることか。
個人的には、これらの地域のスタッフとの間に強い信頼関係を築くことはとても重要だと思います。

多文化の職場環境において、心からの強い信頼関係があれば、もし誤解が生じたとしても許しあえるのです。 タスクベースの働き方に頑なに執着し、スタッフの家族について何も知らず、どういう人間なのか気にもとめず、一緒に笑ったり泣いたりすることもなく、お酒を酌み交わすこともなく、そしてミーティングの時には情報を十分に共有してもらえないと感じたら、きっと個人的に疎外されていると捉えてしまうこともあると思います。

社員旅行をする必要はないと思いますが、そのような声があがるということは、より職場の人たちを理解したいという気持ちの表れでしょう。
ですから、社員旅行に代わる何か、パーソナルな良い関係を築けるものを奨励するのはどうですか?時には少し長めのランチを一緒にとることを奨励したり、昔ながらの日本のスタイルで終業後に飲み会を企画するのも時にはいいと思いますよ。きっとこれらアジア諸国のメンバーたちからのより強い信頼を得られると思いますよ。

⑥ 企業の英語の公用語化について

私たちは2年前から英語公用化を実施しているのですが、これは企業文化にも影響を与えるのでしょうか?
そうですね、日本人同士が英語で話すよう強制するのはあまりお勧めしません。多くのミスコミュニケーションを生み本末転倒になり得るからです。細やかな表現といった部分で母国語に勝るものはないですから。 しかし、多国籍なメンバーでのミーティングなど必要な場合は、ローコンテクストなプロセスが必要ですね。

そして繰り返しになりますが、何度も確認する、決定事項を書き出す、状況を明確に共有するという作業に注力することです。提案できることといえば、このようなことですね。これ以上あまり思い当たりません。実際に御社の取り組みは大変よいと思いますし、このインタビューに先立って他のフロアでスタッフの働く様子も拝見しましたが、英語公用化をうまく導入しているように思いました。

⑦ 日本ならではの給与体制について

最後の質問です。ボーナス制度についてなのですが、日本の会社は基本の給与に加えてボーナスを設けるのが通常の制度です。これは日本特有の文化ですか?少し個人的に不思議に思っただけなのですが。
日本では全員ボーナスをもらうのですか?
正社員であれば、通常はあります。
そうですね、文化的なものと言えると思います。ボーナスがない国もあれば、ボーナスを普通と捉える文化もあり、10%の人だけがボーナスをもらう文化もあります。ボーナスは実績・評価によって変わりますか?
変わりません。

そこが問題かもしれません。通常多くの国ではボーナスは不確定なもので、ボーナスはもらえるかもしれないし、もらえないかもしれないというものですよね。 ですから日本は特殊な文化といえるのですが、もし明快に説明することに抵抗がないのでしたら、これはボーナスですからあなたは受け取る権利がありますと説明し、この特殊なシステムに慣れてもらうしかないですよね。ただ、特殊であるが故に簡単に受け入れてもらうのは容易ではないとおもいますが。

最後にもう一つだけ重ねて言いたいことがあります。今のこのような問題も社内でディスカッションしてみたら良いと思います。どんどん質問してください。 例えば、あなたの国ではボーナスはどんなシステムになっているの?など率直に会話することをお勧めします。そのためには、やはりより良い信頼関係が育まれていることが大切ですよね。オープンになれますから。

日本人は従来関係ベースで信頼を構築する側にいたはずです。ただ新たな世代は反対側にシフトしてきていますね。日本人は昼間は仕事にしっかり集中し、終業後に関係を築いていたのです。
しかし現代はその習慣が薄れているんですね。そんな中、多くのアジア諸国のスタッフたちはきっと職場でのパーソナルな関係の希薄さを感じていると思います。あなた方二人は、若いスタッフたちの祖父母のように振舞って古き良きスタイルを奨励する役目を担ってください(笑)。

本当に日本の企業文化をよくご存知ですね(笑)。さて、残念ながら時間になってしまいました。 今日は貴重なお話をありがとうございました。
ありがとうございます。私もお目にかかれて光栄でした。 これからみなさんが経験するエキサイティングなプロセスが上手くいくよう祈っています。

最後に御社の将来を予測しますね。大成功を収めること間違いなしでしょう。

④ 多文化なグローバル企業で求められる社内教育とは

私たちの組織のなかには、多文化なバックグラウンドや国際経験が豊かなスタッフも多くいます。
著書の中で、そのようなスタッフを組織の中のカルチャーギャップを埋める架け橋として、また他のメンバーが柔軟な思考を身につけられるような手助けを担えるよう、教育し活用していくということを述べられていました。

具体的に人事部としてどのような取り組みをしていけばよいでしょうか?
具体的な指示や援助無しに、これらのスタッフが有効な架け橋になることはないでしょう。多文化のバックグラウンドをもつスタッフがいるというだけでは架け橋にはなりませんね。

そこで、とてもシンプルかつ有効な取り組みをお勧めします。これまでいくつもの企業が実践しているものですが、『異文化理解力』を用いブッククラブを実施するのです。
"ブッククラブ"、興味深いですね。何人程度でどのように行うものなのでしょうか?
そうですね、15人くらいでしょうか。様々な国籍から選ぶようにしてください。もちろん国際経験が豊かな日本人も5名程度含めることも忘れずに。例えば彼らに月に一度、定期的にこの本を読み集まって意見交換をしてもらいます。ランチを囲みながらでもいいでしょう。
内容について納得できたか、自国の文化と日本、あるいは他国の違いついて。
社員同士のいい交流になりそうです。 ディスカッション終了後、私たちがやるべきことがあれば教えていただきたいです。

セッション終了後、スタッフに問いかけてみるのです。会社の中で異文化間の理解が深まるよう、サポート役となる責任を感じるかどうか。

例えば何人かを選択し、あなた方は"多文化間メンタープログラム" について学びましたので、この会社の中で異なる文化のスタッフに対し、より深い理解をもてるようサポートする役割を担っているのですと。さらに、定期的に集まり会話を続けることをシステム化するのです。

また採用活動の際にもこれらの知識やシステムは活用できます。インターナショナルなバックグラウンドを持つスタッフに対しては、採用の理由の一つとして、はっきりとこの組織の中で文化的に柔軟な思考の持ち主として他のスタッフをサポートして欲しいことが挙げられると伝えるのです。

仮に新たに採用するスタッフのなかに、初めてドイツ、サウジアラビアから採用された人がいたとするなら、そのスタッフにこの本を読んでもらい入社後2ヶ月間程定期的にミーティングの機会を設け、それぞれのチャプターについて感想を述べてもらったり、自国と日本の違い、気づきなどを話してもらうこともいいでしょう。 その過程で異文化環境の中で働く心構えも出来ていくと思います。

また次の段階として日本人のスタッフからも同様に数名選んでディスカッションに参加してもらうことを考えましょう。彼らの意識をも向上させることができます。

そうですね。プログラムのシステム化は必要だと思います。多文化間メンタープログラムについて理解のある社員が増えることは私たちにとってとても有益なことです。
また採用活動や新人研修の場でこのプログラムを取り入れることも良いアイデアだと思います。

ぜひこのような活動や努力を続けてください。

会話の重要性は強調してもしすぎることはありません。継続してできるだけ多くディスカッションの機会を作ってください。それが働きやすい環境作り、また状況の改善に大きく役立ってくれるでしょう。

人は簡単に口を閉ざしてしまいがちなのです。 言葉の壁や、批判的に聞こえるのを恐れてはっきり話すことが正しくないと感じる意識など、沈黙の罠に陥るのは簡単です。
シンプルですが、私が提案するのは会話、会話、ひたすら会話です。

他の日本企業で似たような質問をされたことはありますか?
ハイコンテクスト、ローコンテクストは日本人に関してはよくある質問です。
日本人は説明しなくてもわかりあえる状況に慣れているからです。
空気を読むですね。

その通りです。 日本は単一民族国家といえるでしょう。私から見ても本当に特殊な国です。人口の97%が日本人。先ほども出ましたが、甘い誘惑ですね、言葉にしなくても理解してもらえることに甘えてしまいがちです。 ですから、日本企業からは逆にこのような質問は少ないですが、その他の多くが抱える問題です 。

例えば、先週私はスカイプでGoogle社のブッククラブミーティングに参加しましたが、彼らは今このプロジェクトを進めている過程にあり、多国籍な構成をもつ自社のカルチャーマップを図式化し、どのようにディスカッションを開始しようかと思案中です。

コーポレートカルチャーを目に見える形で図式化することによって、抱える問題点に気づいたり、あるいは強みとして発展させていく部分が見えたりするのです。

お互いに同じプロジェクトを遂行するにあたってそれぞれのカルチャーを可視化することはとても重要ですね。

また現在の位置がここだとして、他地域のスタッフがさらに加わることによってそのカルチャーの分布図はまた変化しますし、その際自分たちのスタイルをローコンテストに無理やりシフトする必要はないと思います。

その代わりに、より多くの時間を決定事項やプロセスの確認に費やし、書き出し、各自が理解したこと、現場で起きていることの正しい理解をまた確認しという繰り返しの作業に費やすべきです。時間もエネルギーも消費することですが、これこそが、多文化間でのインタラクションをうまく機能させる秘訣です。

私たち自身のコーポレートカルチャーを作っていくというプロセスと言えるのでしょうか?

そうですね、これもディスカッションが必要な部分です。現在のカルチャーマップの位置付けをはっきり示し、そして将来目指す理想の位置も同様に図式化し、どのように企業文化を変えていきたいのか、会社のリーダーとして、人事部門として、あなた方二人は会社が変わるべき新たな方向性について明確なイメージを持ち、それをきちんと表現できることが大切です。
会社としての価値観を示すと同時に、さらには具体的な行動まで落とし込み提示するのです。

例えば、階層主義の傾向が強い地域出身のマネージャーに、平等なリーダーシップのスタイルを促す必要がある場合、マネージャーだけではなく彼の下で働くスタッフにも同様に平等主義を理解させ教育する必要があります。
彼ら自身も階層主義的なトップダウンのスタイルに心地よさを感じていることもあるでしょうから、自分たちの企業文化は、 上司に対しても異なる意見をはっきりと述べることができる環境を奨励することを一貫して示し、またマネージャーに対しては積極的に自分の意見と異なるものを吸い上げる努力をするように指導するべきです。これは簡単なことではないですね。

⑤ 社内コミュニケーションにおける文化の壁

細山田 理摩(株式会社HDE ビジネス・アドミニストレーション・ディビジョン ヒューマン・リソース・セクション)

若手の外国籍のスタッフから、社員旅行を企画しようという声が上がります。日本ですと近年はパワハラやセクハラという問題も懸念されますし、あまり良いイメージはなく積極的にはなれないのです。考え方の違いを感じます。
ここでまた信頼の指標のマップを見ていただきたいのですが、日本は他のアジア諸国の中ではもっともタスクベース寄りです。一方で、タイやインドネシア、ミャンマーなど東南アジアのほとんどの国が、日本と比較した場合極端に関係ベースでの信頼構築に寄っているのがわかりますね。これらの国ではパーソナルな結びつきを大切にします。職場においても、食事を共にし、お互いの家族のことを共有し、個人としてお互いを知ろうと努力するのです。
日本は昼間会社ではタスクベースの考え方をし、終業後に食事にでかけたりするのではないですか?
実はあまり職場外で一緒に過ごすということはしません。
なるほど。あなた方はIT企業の特徴でもありますが、よりタスクベース側に位置しているのですね。そうすると、他のアジア諸国との間にどれだけの距離があることか。
個人的には、これらの地域のスタッフとの間に強い信頼関係を築くことはとても重要だと思います。

多文化の職場環境において、心からの強い信頼関係があれば、もし誤解が生じたとしても許しあえるのです。 タスクベースの働き方に頑なに執着し、スタッフの家族について何も知らず、どういう人間なのか気にもとめず、一緒に笑ったり泣いたりすることもなく、お酒を酌み交わすこともなく、そしてミーティングの時には情報を十分に共有してもらえないと感じたら、きっと個人的に疎外されていると捉えてしまうこともあると思います。

社員旅行をする必要はないと思いますが、そのような声があがるということは、より職場の人たちを理解したいという気持ちの表れでしょう。
ですから、社員旅行に代わる何か、パーソナルな良い関係を築けるものを奨励するのはどうですか?時には少し長めのランチを一緒にとることを奨励したり、昔ながらの日本のスタイルで終業後に飲み会を企画するのも時にはいいと思いますよ。きっとこれらアジア諸国のメンバーたちからのより強い信頼を得られると思いますよ。

⑥ 企業の英語の公用語化について

私たちは2年前から英語公用化を実施しているのですが、これは企業文化にも影響を与えるのでしょうか?
そうですね、日本人同士が英語で話すよう強制するのはあまりお勧めしません。多くのミスコミュニケーションを生み本末転倒になり得るからです。細やかな表現といった部分で母国語に勝るものはないですから。 しかし、多国籍なメンバーでのミーティングなど必要な場合は、ローコンテクストなプロセスが必要ですね。

そして繰り返しになりますが、何度も確認する、決定事項を書き出す、状況を明確に共有するという作業に注力することです。提案できることといえば、このようなことですね。これ以上あまり思い当たりません。実際に御社の取り組みは大変よいと思いますし、このインタビューに先立って他のフロアでスタッフの働く様子も拝見しましたが、英語公用化をうまく導入しているように思いました。

⑦ 日本ならではの給与体制について

最後の質問です。ボーナス制度についてなのですが、日本の会社は基本の給与に加えてボーナスを設けるのが通常の制度です。これは日本特有の文化ですか?少し個人的に不思議に思っただけなのですが。
日本では全員ボーナスをもらうのですか?
正社員であれば、通常はあります。
そうですね、文化的なものと言えると思います。ボーナスがない国もあれば、ボーナスを普通と捉える文化もあり、10%の人だけがボーナスをもらう文化もあります。ボーナスは実績・評価によって変わりますか?
変わりません。

そこが問題かもしれません。通常多くの国ではボーナスは不確定なもので、ボーナスはもらえるかもしれないし、もらえないかもしれないというものですよね。 ですから日本は特殊な文化といえるのですが、もし明快に説明することに抵抗がないのでしたら、これはボーナスですからあなたは受け取る権利がありますと説明し、この特殊なシステムに慣れてもらうしかないですよね。ただ、特殊であるが故に簡単に受け入れてもらうのは容易ではないとおもいますが。

最後にもう一つだけ重ねて言いたいことがあります。今のこのような問題も社内でディスカッションしてみたら良いと思います。どんどん質問してください。 例えば、あなたの国ではボーナスはどんなシステムになっているの?など率直に会話することをお勧めします。そのためには、やはりより良い信頼関係が育まれていることが大切ですよね。オープンになれますから。

日本人は従来関係ベースで信頼を構築する側にいたはずです。ただ新たな世代は反対側にシフトしてきていますね。日本人は昼間は仕事にしっかり集中し、終業後に関係を築いていたのです。
しかし現代はその習慣が薄れているんですね。そんな中、多くのアジア諸国のスタッフたちはきっと職場でのパーソナルな関係の希薄さを感じていると思います。あなた方二人は、若いスタッフたちの祖父母のように振舞って古き良きスタイルを奨励する役目を担ってください(笑)。

本当に日本の企業文化をよくご存知ですね(笑)。さて、残念ながら時間になってしまいました。 今日は貴重なお話をありがとうございました。
ありがとうございます。私もお目にかかれて光栄でした。 これからみなさんが経験するエキサイティングなプロセスが上手くいくよう祈っています。

最後に御社の将来を予測しますね。大成功を収めること間違いなしでしょう。